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競売物件を入札するときの注意点とは?競売物件の買い方も解説
競売物件の入札をご検討されている方の中には、入札時どんな点に注意すべきなのか心配されている方もいらっしゃることでしょう。そこで、本記事では競売物件を入札するときの注意点について解説します。この記事を読めば、競売物件を買う時の流れも分かるようになります。
入札時に起こしやすいミスを一挙にまとめて紹介していますので、競売物件の購入にご興味のある方はぜひご覧ください。
競売物件とは?
競売物件とは「債権者からの申出に応じた裁判所によって差し押さえられた債務者(住宅ローン滞納者)の不動産のこと」です。
1番高い金額を付けた人が落札できるオークション形式となっていて、定められた期間に入札する期間入札という方式を採用しています。入札時は保証金2割を裁判所に振り込み、残りの8割は落札後に支払います。落札できなかった場合、保証金は返還されますのでご安心ください。
売却価格は相場の3割ほど低く、物件の状態によっては5割安いこともあります。また、一般の市場に出回っていない珍しい物件に出くわすことがあります。優良な物件ほど人気で入手が難しく、転売目的の他の入札者は業者ということもあって個人が張り合うには手ごわい相手です。弊社では入札代行を承っておりますので、競売物件の入札でお困りの方はお気軽にご相談ください。
投資家には、こういったメリットがある一方、次のような懸念点もあります。
内覧できない
不動産の内側の様子が把握できないので、BIT(競売物件情報サイト)や裁判所で公告される3点セットの情報を頼りにするしかありません。
前の住人が占拠していることがある
登記の手続きまでは裁判所が行いますが、それ以降の引き渡し命令などの手続きに関しては買主自身で進める必要があります。
一般販売のように売り主が存在しない
そもそも競売には保証義務を持つ売り手が存在しません。債務者も裁判所も売り主ではないため、買い手には購入リスクがあります。
このように、競売は掘り出し物件を安く購入できる可能性を秘めているものの、同時にそれなりの購入リスクも伴います。入札を検討している投資家の方はご注意ください。
競売物件の買い方
競売物件を購入する流れは以下の通りです。
- 公告された情報の閲覧
- 入札
- 開札
- 代金納付
- 引き渡し
以下では、詳しく解説します。
1. 公告された情報の閲覧
競売物件が公告されるのは、競売開始が決定してから3~4か月前後です。競売物件を入札するときは、まずBITや裁判所で公告される情報を閲覧しましょう。実際に公告されているのは次のような情報です。
- 入札期間
- 開札期日
- 築年数
- 所在地
- 交通
- 面積
- 構造
また、公告から2週間ほどで閲覧できるようになる3点セットの情報は、入札する物件を決めるときの判断材料として役立ちます。
- 現況調査報告書:占拠者がいるかどうかわかる
- 評価書:評価額や周辺環境の様子がわかる
- 物件明細書:物件の状況や権利関係がわかる
いずれもBITでダウンロードできるので活用してみてください。
2. 入札
債務者を除いて誰でも参加できる入札は、物件情報が公告されて3週間ほど経ってから始まります。購入したい物件が決まったら入札しましょう。入札期間は8日間あり、入札時にやることは大きく2つあります。
(1)保証金の支払い
裁判所に保証金(売却基準価額と呼ばれる目安の価格の20%以上)を支払わなければなりません。公告に記載されている買受申出保証額を見れば、いくら振り込めばいいのかわかります。
(2)必要書類の提出
入札時は保証金の支払いと同時に、下記の必要書類を提出する必要があります。
- 入札書(事件番号・物件番号・入札価額を記入する)
- 暴力団員等に該当しない旨の陳述書
- 入札保証金振込証明書(印鑑を押す)
- 本人確認書類(添付書類)
必要書類が準備できたら、裁判所の執行官室に持参するか郵送してください。競売物件の入札を検討している方は、保証金を支払ったうえで必要書類を提出しましょう。
3. 開札
開札は入札締め切り期日から8日後に始まります。入札期間に投函された入札書のうち、最高金額で入札した人が落札者です。開札日は入札の時点で決まっており、開札結果は裁判所かインターネットでわかります。落札できなかった人には、10日ほどで保証金が返金されるのでご安心ください。
4. 代金納付
売却許可決定は開札日から1週間後にされ、確定するまでに、さらに1週間ほどかかります。裁判所から購入しても問題ないとみなされたら、2週間後に代金納付期限通知書が届くので、残りの8割の売却代金(すでに保証金を2割支払っている)と登録免許税を支払いましょう。
なお、落札者が裁判所の決めた期日(売却許可決定の約10日後に郵便で通知される)までに売却代金を支払わない場合、開札日に次順位買受の申出をした人が落札者となります。保証金も返ってこないので注意してください。
裁判所による登記(所有権移転登記・抵当権抹消登記および設定登記)が済むと、競売物件が正式に落札者のものとなります。不動産が新たな所有者に引き渡されたら、代金と書類を提出してから2週間ほどで、登記識別情報通知書が届きます。重要な書類なので大切に保管しましょう。
5. 引き渡し
通常、引き渡しは代金納付日から1か月ほどで完了します。登記までの手続きは裁判所が行いますが、ここから先の手続き(占拠者への立ち退き交渉や裁判所への引き渡し命令申し立て)はすべて買主が自分で行わなければいけません。引き渡し命令(代金納付から6か月以内まで可能)が出ているのに退去・立ち退きしない場合は、裁判所の力を借りて強制執行しましょう。このとき、ローン滞納者である債務者(占拠者)は支払えるほどのお金を持っていないため、買主が予納金の負担をする必要があります。
また、義務ではありませんが、債務者から立ち退き料を求められることがあるので、その際は要求に応じるかどうか債務者とよく話し合いましょう。このように、不動産の引き渡しは「立ち退き交渉→引き渡し命令申し立て→強制執行」という流れを経て行われます。
競売物件を入札するときの注意点6選
入札の仕方を正しく理解できていないと、「購入しようと思ったのに入札できていなかった」なんてことになってしまいかねません。競売物件を入札するときには、次の6つの注意点に気を付けましょう。
- 締め切り期日を守る
- 入札期間前に保証金を入れない
- 本人確認書類(添付書類)を忘れない
- 共同入札時は共同入札買受許可申立書も提出する
- 入札価格を間違えない
- 入札価格が安い物件は安い理由を探る
以下では、詳しく解説します。
締め切り期日を守る
競売は期間入札と呼ばれる方式を取っており、入札できる期間が決まっています。そのため、定められた期日を過ぎてしまうと、入札できません。購入を検討している競売物件を確実に手に入れるためにも締め切り期日は守りましょう。
入札期間前に保証金を入れない
保証金は入札期間になってから支払うようにしましょう。入札書や添付書類を期間内に提出したとしても、期間内に保証金を振り込まなければ保証金を支払ったことにならず、オークションにも参加できません。後から取り消せる場合もありますが、裁判所に足を運ばなければならず手間がかかります。手に入れたい競売物件がある方は保証金を振り込むタイミングを間違えないようお気を付けください。
本人確認書類(添付書類)を忘れない
入札に際して、裁判所の執行官に入札書を提出するときは本人確認書類も併せて提出しましょう。このとき、提出する本人確認書類は下記の通り、個人・法人・代理人・宅地建物取引業者で異なります。
- 個人の場合:住民票
- 法人の場合:代表者事項証明書または登記事項証明書
- 代理人の場合:代理委任状
- 宅地建物取引業者の場合:宅地建物取引業の免許書コピー
いずれの場合も、入札書の提出日の前3か月以内に発行された(マイナンバーの記載されていない)ものを用意しましょう。
共同入札時は共同入札買受許可申立書も提出する
共同入札とは「1つの物件に複数人で入札できるオークション」です。入札したい物件はあるものの、資金が足りないときに有効な手立てと言えます。夫婦や兄弟、親子の場合は、執行官の許可が下りれば共同入札できます。ただ、夫婦や兄弟、親子であっても認められないケースや、逆に、親族でなくても共同開発を目的とする不動産業者の間で共同入札が認められるケースもあります。
このように、共同入札は認められる範囲が曖昧な部分があるため、詳細が気になる方は入札したい不動産の競売を管轄している裁判所に直接聞いてみるのが一番です。
なお、共同入札では2種類ある入札書のうち、水色の入札書に記入する必要があります。
- 普通の入札書はピンク色
- 共同入札の入札書は水色の入札書
また、共同入札するには、通常の入札で提出する書類に加えて、共同入札買受許可申立書と呼ばれる書類を裁判所の執行官に提出しなければなりません。このとき、一緒に入札する人との続柄を示すための住民票(戸籍謄本でもOK)や持ち分を証明する書類が必要です。共同入札を検討している方は、入札手続きを行う前にあらかじめ準備しておきましょう。
入札価格を間違えない
入札するときは入札書に金額を記入しますが、桁の間違いをする人が多くいます。桁を間違えると、10倍、100倍、…の入札額で落札することになります。後から取り下げることはできますが、購入キャンセルしたら保証金が返ってきません。記入ミスしないように最低でも3回は確認しましょう。
入札価格が安い物件は安い理由を探る
一般的に、売却価格が安い物件ほど購入リスクが高い傾向にあります。その理由は下記の通りです。
- 立地が悪い
- 前の住民が居座り続けている
- ワケあり物件(シロアリの生息、ゴミ屋敷)である
競売物件の購入を検討する方の中には、下調べをせずに入札する物件を決める方がいます。しかし、よく調べずに購入すると、賃貸で貸そうにもその後の買い手が現れず、買わなければよかったと後悔することになりかねません。購入前はBITや3点セットを手掛かりにして入念な下調べを行いましょう。
まとめ
競売物件とは「裁判所に差し押さえられた物件のこと」です。売却価格が低く、掘り出し物件を発見できる可能性もあるのは投資家にとってのアドバンテージといえますが、内覧できない/占拠者がいることがある/保証がないといった点には注意が必要です。
購入するときは、まずBITや裁判所で公告された情報を閲覧して入札する物件を決めましょう。入札したら開札日には落札者が決まり、落札者による代金納付と裁判所による登記が済むと不動産が引き渡されます。競売物件を買おうと思っている人は、本記事で紹介した注意点に気を付けましょう。
ミライエでは競売物件の入札代行に対応しています。何かわからないことがある方はお気軽にご相談ください。